考えたら『ミッドサマー』以来4年ぶりとなるアリ・アスター監督の新作は、御多分に洩れずやりたい放題の混迷映画です。
常に受け身で何かに翻弄され続ける心身喪失状態の主人公ボーを演じるホアキン・フェニックスのメンタル崩壊演技を一種のロードムービーとして笑っていいのか悪いのかが分からない状態な構成で執念に追い込んで行くので必然的に観客も翻弄され続けます。
時折キューブリック映画の抽象節みたいな破天荒模写もあり、そこにアリ・アスター毒も混ざるので観ている方も気が気ではありません。
基本ワケワカラン模写と展開の応酬ですが、アリ・アスター映画を観に行くというのはソレを体現しに行くという事なので致し方ありません。相変わらず直ぐにもう一度観たいとならないのも事実なのです。