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農家の嫁は取り扱い注意! Part1 天使降臨篇のshishiraizouのレビュー・感想・評価

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フミカ演じる主人公は農家に嫁いできた嫁。夫婦仲はセックスレスで、夫に抱いてもらいたいのにシテとは言えない、「セッ、セッ、セッ…」と口ごもる伝統芸能的台詞まわしが不器用で、可愛らしくもある。

その彼女の善良な不満が解消されることと、人を助けるヒーローになりたい願望のある彼女がオレオレ詐欺からおばあさんを救うことが、並行して描かれますが、このメインプロットとサブプロットがなんだか噛み合っていない。でも監督はあんまり気にしていないかんじ。

かんじんのアクションシーンや官能シーンは、モタモタしていて見せ場とも言えないが、スキのあるかんじが人物たちの善良さに還元されて映る。気付かず、仕方なく、悪意なく。

点景的な人物、駐車場でポツンと座っているおばあさん、火の用心の二人組、飲み屋でのカラオケ仲間。彼らが主人公農家の嫁に近づくと、関係を名付けがたい、弱くやさしい好ましさが漂う。この地上に低く生きていて、肌のさみしさを抱えている同志であるのかのような。脇の人物たちがコチョコチョうごめいて、はしゃいだり、抱きしめあったりする。世界の端っこにも、生きる小さなたのしさはあるんだという感覚。
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