アラバン

ブラックボックス:音声分析捜査のアラバンのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

捻った設定が上手くいってなさそうなジャケイメージとは違って王道的なサスペンスで、特に後半は緊迫感が途切れなかった。

墜落した飛行機から取り出したブラックボックスの音声データに違和感を感じた分析官が、妻や親友や上司の反対を押し切って墜落事故の真相に迫っていく。

組織や社会のアウトサイダー的な社会不適合者が、それゆえに誰も気にしない細部に疑いの目を向け、不都合な真実を暴いてしまうと云う物語は、まぁまぁ一般的でよく見られるが、主人公はまさにそんな存在。

自分の信念を貫くことが最優先であり、そのためには出世を犠牲にしたり、妻からデータを盗むことも厭わない。
他の人物たちが、金や名誉といった、非常に解りやすい欲望が行動原理となっているので、彼の変人ぶりがより際立つ。

やはりこういったおかしな人間こそが、誰もたどり着けない場所に届くのであり、それを分かっていて託したあの上司は、良くも悪くも目端が効いてさすがと言えるかも。

こういう人間が、取り憑かれたように正しい事を行おうとすると、正義と破壊がセットでもたらされがちなので、隠蔽を暴いた代わりに関係者全員が不幸に陥ったのは非常に象徴的だった。

最後の隠されたヒントを見つけるところから、お前そんな場所に夜中に1人で行ったら危ないだろ、って言いたくなるような、主人公の危険な行動は非常にスリリングで、オーソドックスなサスペンス要素をしっかり踏まえていて面白かった。
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