SHIN茶

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎のSHIN茶のネタバレレビュー・内容・結末

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

〜ストーリー〜

廃虚となった哭倉(なぐら)村に鬼太郎と共にやってきた目玉おやじは、70年前に起きた出来事を思い出していた。昭和31年、哭倉村は政財界を裏で操る龍賀一族に支配されており、鬼太郎の父は失踪した妻を捜しに村に足を踏み入れたのだった。一方、血液銀行で龍賀製薬を担当する水木は、龍賀一族の当主・時貞の死に伴い、ある密命を帯びて村を訪れるが、そこで一族の者が惨殺される事件が起こる。

〜感想〜

今作は、『横溝正史✖️水木しげる』という2大巨匠の世界観を見事に織り交ぜながら構成されており、ミステリーを主軸に物語が展開され、其処へ妖怪が絡んでくるという物語になっています。
まず、水木が哭倉村を訪れるまでで既に面白い。戦争を経験し弱者は喰われる世界に嫌気がさし、のし上がる為に尽力している主人公である水木は、汽車の中で煙草を吸う。例え子供がむせ込んでいてもお構い無し。またポイ捨ても当たり前。当時の日本を一切美化せずに描いている点に感心しました。昨今、やたら昔は良かったと美化しようとする作品が多い中でこうした事は本当に素晴らしいです。
更に、説明台詞無しに場面で見せる演出も良い。村に入った水木の事を監視しているかのように映し出される家の外観たち。閉鎖的な村の不気味さが無駄なく伝わってきました。
そして、通称ゲゲ郎こと鬼太郎の父親と水木との友情や共闘がホームズ&ワトソンよろしくで立派なバディ物として描かれ事件の真相へ迫っていくのです。
ただ、一点ミステリーとしての側面に関して犯人が妖怪だからという答えだけで、大した殺人トリックや謎解きがなかったのは残念でした。導入から引っ張ってきたミステリー要素が興味をそそられるものであり、非常に引き込まれたので其処があっさりしすぎており物足りなさを感じてしまいました。
ですが、ストーリーとアニメーション共に最高峰なのは間違いなく、面白いのは確かです。話題になるのも頷ける作品であり、非常にクオリティの高いアニメーションで大満足だったのは事実です。
劇場で是非、体験してください。
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