おだまき

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎のおだまきのレビュー・感想・評価

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)
4.4
1956年日本、政財界を裏で牛耳る龍賀一族の当主·時貞が亡くなった。会社員の水木は、当主の死の弔いを建前に野心と密命を背負い龍賀一族の住む村へ訪れる。水木は一族の謎を追う最中、妻を探しているという浮世離れした男性と出会うが···。


面白かった!という表現で合ってるか不安になるけど、ネタバレ情報が表に出てない今の時期に観て良かった作品だと思いました。
余韻がすごくて、鑑賞後数日経ってからも作品を思い出して悶えています。目玉おやじを今まで通り見れないよぉ···。



以下ネタバレあり






「ゲゲゲの鬼太郎」は昔アニメで少しだけ見た程度のビギナーです。不気味なポスターに惹かれ鑑賞。SNSにて本作鑑賞前に、墓場鬼太郎の第1話の購読がお薦めされていたので、それだけ読みました。読んで良かった···!


予告編が小学生向けアニメーション作品でほんわかし、序盤もお馴染みゲゲゲの鬼太郎が登場。期待した程怖い作品じゃないのかも···と思っていたのですが、鬼太郎父ことゲゲ郎が出てから雰囲気が変わり、どんどん話に引き込まれていきました。

村の不気味さはゲーム「サイレン」、業の深さはゲーム「俺の屍を越えてゆけ」を思い出しました。


搾取する者、される者の対比が印象的でした。戦争で上官に従わざるおえず、戦争後も母親が親戚から搾取される会社員水木。幽霊族を殺され、最愛の妻も拐われるゲゲ郎。敵は政財界を裏で牛耳り地位や富を持つ龍賀一族。
弱者を搾取してまで得る栄光に価値はあるのか?正直者はバカを見る世の中であっていいのか?
前半で孫の時弥少年と日本の未来について語る場面があることで、終盤の"vs時貞"での水木とゲゲ郎の言動がグッときました。
ゲゲ郎の「友よ。お主が生きる未来、この目で見とうなった!」(うる覚え)って台詞好き。

エンドロールが、すごい。

鑑賞から数日経って、まだ余韻が残っています。
序盤の廃村がどの場所を描いていたか、とか。
ゲゲ郎妻が回想ショートカット姿なのは、再会した時に囚われていた時の長さが一目で分かる演出なのかな、とか。
ゲゲ郎の湯浴み場面は、目玉おやじになる前から温泉好きだったっていう表現かな、とか。

2回目観たり、原作を知るとさらに気づきがありそうな予感がします。

2023-57
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