鬼太郎のお父さんのゲゲ郎と、本作の語り部である水木の二人を主人公にした物語。
本作、妖怪ものと侮るなかれ、思っていた以上に心に沁みる作品であった。
製薬界の大物の死去にともなって、その本邸がある人里離れた集落で相続をめぐって騒動が起こるのだが、このへんは横溝正史ばりでなかなかのホラーミステリーな雰囲気。
水木はその製薬会社と取引のある血液銀行（というあたりも昭和初期な感じ）から送り込まれて、この跡目争いに乗じてこの製薬会社の秘密の薬を探ろうとしているのだが、事件に巻き込まれ徐々に異世界に引き込まれていく。
自分は鬼太郎モノの中でも妖怪メインの話より、人間界が絡む話の方が好きなので、本作は好みのスタイルであったと思う。水木・ゲゲ郎ともにここに至るまでの過去があり、それを共有したり一緒に闘うことで、人間・幽霊族を超えた友情が生まれ、今までの自分を見直すことにもなる。
終盤は妖怪バトルとなるのだが、そのへんの心の繋がりがラストシーンへと繋がっていて、映画全般としては後味が悪いところがあるが、鬼太郎誕生につながる部分については救われた感じで心に沁みた。
ラストシーンは上手く「墓場鬼太郎」の一話に繋がっていく感じで、まあ、多少無理はあるのだが、映画のようにこんな繋がりがあった方がより感動的で良いと思った。
