nt708

コーダ あいのうたのnt708のネタバレレビュー・内容・結末

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

下ネタのセンスとピン送りの違和感を除けば、本当に素晴らしい映画だ。主人公の聾唖の家族を支えなければならない現実と音楽の勉強をしたいと言う夢のぶつかり合い。主人公の夢を応援したい一方で、彼女無しでは生きていく自信のない家族。このすれ違いをどう乗り越えるのかと言うのが本作一番の見どころである。

お互い支え合って生きている。主人公にとっては家族が不可欠だし、家族にとっては彼女が不可欠だ。本作の最後でそれが痛いほど伝わってきたし、主人公が夢を追いかけることを決めて実家を離れるとき、それぞれがそれぞれの再出発をできたようで何とも温かい気持ちになった。

手話という言語を扱うことで、必然的に音のない時間が生まれるのだが、それがまた本作の雰囲気作りや役者たちの演技を引き立てていて良かった。コンサートで無音になるシークエンス、、冷静に考えてみると映画もまた音で溢れているメディアであり、こうして何不自由なく観られることがいかに幸せなことか考えてしまう。

『サウンドオブメタル』や『ドライブマイカー』などここ最近で公開されている作品で手話が使われているケースが多い気がする。こうした流れは映画が誰のものでもなく、多くの人が楽しめるものが理想である以上、大いに歓迎すべきだ。こういう優しい映画が世の中にもっと溢れると良いのだが、、
nt708

nt708