Mariko

コーダ あいのうたのMarikoのレビュー・感想・評価

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)
3.5
映画創世記からある「映画たるもの、こうあるべき」という像に非常に近いお手本のような作品。
対象や表現はいろいろ現代に即して作られてはいるけれど、こういう王道的仕立ての作品が昨今こんなにも支持されるというのはちょっと意外ではあるけれど、いろいろ仕掛けやトリックを施したものに疲れた人が案外多いのかも。

浪花節的展開ではなく、淡々と話が進んでいくところには好感を持ったし、お父さんはじめ家族のひとりひとり(また、実際に聴覚障害を持つ俳優たちの演技が素晴らしいこと!!)が丁寧に描かれているのが魅力的。
ではあるけれど、案外「歌」には重きが置かれていないこと("Both Sides Now”がいろんな意味でハイライトなのはもちろんだけれど、そういうことじゃなくて)、家族はルビーのことを心底理解することは一生できず(それも無理からぬことではあるし、そういう描き方なのもわかるけれど)けれど、全部ひっくるめて納得ずくで、というより行きがかり上仕方なく送り出した、みたいに見せたところをどう捉えれば良いのかちょっと困った。

興味深かったのは、V先生がやってた発声のきっかけ、合唱クラスのレベルの高さ。映画だもの、と言ってしまえばそれまでだけど、これまでイギリスやアメリカの数々のハモリバンドを構成するメンバー(が、急遽入れ替わった人だったり、代打として出てきた人だったり、も)がもれなく素晴らしいハモリのセンスと実力の持ち主であることに驚き、その度に感じていた「これはやっぱり欧米では子供の頃から教会でそういう歌を歌ってきたので、素地が違う」という見解をまたもや実感させてくれたこと。それぞれが歌がうまいのは置いといて、いきなり合わせてあの複声部がちゃんとハモってて参った。
なんの感想だ...。
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