最近観た映画の中ではぶっちぎり1番の作品。
ルビーの生きがいである「歌」というものを、耳の聞こえない家族は理解できない。
ろう者であることに常に引け目を感じ、娘がいなければ生きていけないと考える両親。
一方兄はろう者であっても1人でなんでもできると考え、妹に頼りっぱなしの両親に懐疑的。
ルビーは才能を見出されて音大を志すも、家族との生活がしがらみとなり、諦めかける。
両親はついにルビーを音大に行かせる道を選ぶ。
「どうせ追い出すなら全員で」
追い出したのはルビーへの依存心。
ルビーなしではやっていけないという思い込み。
ろう者としてではなく、ただ1人の人間として外と積極的に関わる道を選んだ。
かつて全盲のヘレン・ケラーが言った。
「世界で最も素晴らしく美しいものは、目で見たり触れたりできるものではない。心で感じなければいけないのだ。」
ルビーら家族が手に入れたものは、まさにそれだと思う。
ルビーが音大試験で歌った曲に、
「愛なんて本当は全然分からない」
という歌詞があるが、
彼らは間違いなくこの愛を心で感じとった。
私もいつか、
それが愛と思うのではなくて、
自分の心で感じて、
これが愛か。と言える時が来るんだろうか。
その瞬間が待ち遠しい。