ちーずとまとりんごちょこ

コーダ あいのうたのちーずとまとりんごちょこのレビュー・感想・評価

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)
4.8
最近観た映画の中ではぶっちぎり1番の作品。

ルビーの生きがいである「歌」というものを、耳の聞こえない家族は理解できない。

ろう者であることに常に引け目を感じ、娘がいなければ生きていけないと考える両親。

一方兄はろう者であっても1人でなんでもできると考え、妹に頼りっぱなしの両親に懐疑的。

ルビーは才能を見出されて音大を志すも、家族との生活がしがらみとなり、諦めかける。

両親はついにルビーを音大に行かせる道を選ぶ。

「どうせ追い出すなら全員で」

追い出したのはルビーへの依存心。
ルビーなしではやっていけないという思い込み。
ろう者としてではなく、ただ1人の人間として外と積極的に関わる道を選んだ。

かつて全盲のヘレン・ケラーが言った。

「世界で最も素晴らしく美しいものは、目で見たり触れたりできるものではない。心で感じなければいけないのだ。」

ルビーら家族が手に入れたものは、まさにそれだと思う。

ルビーが音大試験で歌った曲に、
「愛なんて本当は全然分からない」
という歌詞があるが、
彼らは間違いなくこの愛を心で感じとった。

私もいつか、

それが愛と思うのではなくて、

自分の心で感じて、

これが愛か。と言える時が来るんだろうか。

その瞬間が待ち遠しい。