味噌のカツオ

シン・仮面ライダーの味噌のカツオのレビュー・感想・評価

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)
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正直言って、そんなにアガる作品とは言えませんでしたが。
あえて言うなら、とても優しくて、悲しい物語であったかと。

確かに仮面ライダーはヒーローなのかもしれませんが、そもそもは 悲しき改造人間であるのも確かで。
そんな中、今作から伝わってきたのはいや、ストレートな“悲しさ”ではなく、もの悲しい雰囲気というべきか。

またそれを引き出しているのはストーリーからではなく、どこか昭和を感じさせるノスタルジックな ほの暗さなのかと思ったり。

どこが“見せ場”と問われるとやや難しいかもしれません。ラストは暗い中での粘着質な戦いであったし。
そういう意味での盛り上がりはしにくい作品でしたが、決して嫌いにはなれない雰囲気のある映画だったと思います。


あの二人が名乗ったとき、まさかの役名が語られて、ちょっとグッときましたが。

それ以外にもエンドロールの中で「?」という名前も見受けられまして。
どこ? 何役? というのは これからチェックしていきましょうか。

欲を言うならEDには“♪あらし~とともに やって~き~た~”の「仮面ライダーのうた」が聞きたかったなぁ。



以下、ちょっとネタバレ的に書くならば。
物語の中で 次々に登場人物は(爆発ではなく)泡となって消えていきます。この表現も初期のライダーっぽくて良かったですが。

ただ 消えていく者の意思などを仮面・マスクの中に宿していくと。
仮面ライダーが誕生して50年強。すでに原作者の石ノ森章太郎という存在は亡くなられておりますが。

その人の残した作品であり、作品に込めたメッセージはコンテンツとして残されて。それを受け取った人々が意識を覚醒し、新たな創造として紡いでいく…と。

緑川ルリ子はカマキリ・カメレオンオーグに殺されますが、仮面の中にその想いを遺し。それを受け取った本郷猛はチョウオーグの元に向かい。その戦いで消滅してしまいます。
さらに そんな二人のメモリーは、やはり仮面を介して一文字隼人に受け継がれ。

その結果、一文字隼人は仮面ライダー2号から、(オリジナルのテレビ版的には)新1号ライダーのビジュアルになっていきます。

すなわち今作の本編は1号&2号ではなく、旧1号(庵野風なら初号機?)と2号機を叩き台としつつ、歴史と思い入れの詰まった「シン・仮面ライダー」が誕生する…というべきか。
そこまで考えてみると、ちょっと面白味も深まってくるかな。
味噌のカツオ

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