冒頭1分で「劇場で見逃さずしてよかった」と思えた。
これが特撮なのかもしれないが、そうは言えど...な庵野秀明スタイル。全世界を相手取った「シン・ゴジラ」、物語と共に個人に回帰した「シン・ウルトラマン」、そして行き着いたのは"時代感"と"自主制作感"の極み。いいぞもっとやれ。
全てにおいてこの雑感、庵野ブランドじゃなければ暴動起きてたよ。時代錯誤もなんのその。
動きがとにかくキモい。編集が(故意じゃないならキャリア即引退した方が良いレベルで)現実のテンポ無視の継ぎ接ぎ。スマホで撮った質感で何故情景を感じさせられちゃうんだ?エンドロールは"庵野秀明"の名前を幾つ見つけられるかな合戦。
結果的にコケ気味だったのは本末転倒だが、ここまでの特殊性癖がシネコン映画で堂々と罷り通り、一部の"分かる"人に愛されたというのはすごい。庵野の映画で何回も言ってるが。
舞っては散る俳優の数々。一番ネタバレされたくないところだと思って続報はシャットアウトしていたのだが、どうしても長澤まさみや松坂桃李の名前は見えてしまった。しかし上杉柊平や本郷奏多はスクリーンで初顔合わせだったし、大森南朋や安田顕に至ってはどこに出たのかも分からずじまい。
いやそれにしても、情報公開の瞬間から池松壮亮は一度も裏切らなかったなぁ。個独である事の弱さを垣間見せながらも藤岡弘、ばりの濃さを纏って本郷猛に成っていた。そして、早いうちから情報公開されていたのに出番が驚愕の短さだった柄本佑も、自身のらしさを一切捨てず2号を演じ切っていたのが凄かった。
自分の部活に、僕と同じく庵野秀明を師に仰ぐ後輩が入って来て驚いた。やはり言葉に表せないような魅力があるな。
そしてこれが子供の頃、ちょうど世代の仮面ライダーに、同じように感じていた熱狂だったのかもしれない。ハナから思い出の懐古なんてするつもりはなかったが、2号が風を受けずとも変身できることに本郷の嫉妬があった事とか久々に思い出した。