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そして、バトンは渡されたのNEWおっさんのレビュー・感想・評価

そして、バトンは渡された(2021年製作の映画)
4.0
「本当の親じゃなくても」

第16回本屋大賞を受賞した瀬尾まいこのベストセラー小説を映画化。血のつながらない父親と娘の半生の物語。

正直見る前はそんなに期待してなかっただけにやられた。これはズルいわ。終盤泣きっぱなしだった。最初は場面飛び飛びなぶつ切り手法で何が目的なのか不透明なまま、離婚や結婚を繰り返す母親や、娘や母に何の相談もないまま会社を辞めブラジル行きする父親、怒ったことがない父親など、登場人物がバラバラで場面があっち行ったりこっち行ったりして見にくいなと思っていたが、中盤のある場面でそれらが繋がることにまず感動を覚えた。っていうか予想できたことなのに全く予想できなかったから不意打ち喰らった。

クライマックスの場面が上記の中盤にくることからこれ以上何をやるんだ、と半ば不安に思ったが、なるほど、と。これはあくまでみぃたんの苦難や葛藤を含めた半生を描く話なんだな、と頷いた。

特に石原さとみ演じる梨花の秘密が描かれた時に号泣した。これは多分、人によってはこのデタラメで好き勝手なことしてる性格にはこの秘密があったとしても許せない人もいるだろうとは思うが、自分はみぃたん同様何故か許せたよ。確かに2か月間娘を放置したり、男をとっかえひっかえする様は娘のことを全く考えてないように映るだろうが、振り返れば娘の為に最低限の生活を絶対用意しているのがギリギリのトコロで許せる要因かな。何より娘がこんなことされてもママのことが好きなのが泣ける。

正直現実ではあまり有り得ない話だし、所々無理があるのは確かなんだが、それでも泣いてしまったこっちの負けな部分はあるわ。予備知識全く無しで見たのが良かったのかも。前情報は入れないで見るのがオススメ。