瀬野まいこさんの同名小説を映画化。義理の母・梨花、父親たちに育てられた優子、と家族の物語。
前半と後半ではガラッとテイストも切り口も変わり、前編を通して優しさと愛で溢れており涙なしにはみられない作品。
同時進行で語られる二つの物語のカラクリが明かされ、そこから見えてくる母の真実。随所で名言やポイントとなる発言、彼氏と娘の対比も良いアクセントとなる。
ピアノも料理も当然技術は大事だが、言葉では言い表せない生まれ持った優しさやセンスが人の心を動かすことも多い。卒業式の優子のピアノ演奏がまさにそれであり、多くの人の心を掴むのだ。
娘を見ればどのように育てれ、こんな子供に育ったのがわかる。
血のつながりなんて関係ない。大事なのは相手に対する思いであり、決してそれは一方通行ではなりたたない。
いろんな愛の形があり、血のつながりなど関係ないのだ。時計の針は戻せないが、決して遅いなんてことはない。人は一人では生きていけず、今の私は多くの人とのが関わりによって成り立っている。
多くの父親がいるのは不幸ではない。それだけたくさんの愛に包まれているということなのだ。悪い人は一人もおらず、登場人物全員が優しく愛に溢れている。それぞれが小さな幸せを抱きしめゆっくりと生きているのだ。
大事なのはその愛に気がつくこと。求めるのではなく、そこにあるものに気がつくことなのだ。