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チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャーズのRenのレビュー・感想・評価

4.0
侮るな。ディズニーファンどころか、全ての映画/アニメファンへ贈る今年最高のエンターテイメント。令和の『ロジャー・ラビット』としてここまでのものを作ってくれて満足です、ありがとうございます!以上!

2Dと3Dとパペットとクレイアニメと実写の人間が同じ画角に同居するコンテンツ供給過多な状況が98分続く映画。色んな解像度のやつが共演しているだけでもう最高。
10秒に1度イースターエッグが現れるコンテンツの暴力。誰が『小さな家』観てるんだよ。どうやって版権クリアしたのかよく分からんキャラクターまで出てきて、もうめちゃくちゃ。数年前にそのデザインを巡って大炎上した某キャラクターも、ルックの異様さが低評価に拍車をかけ炎上した数年前の某映画も、某超大御所女優も、MCUに出演経験のある某人気俳優もよく出てきたな....。
全てのイジりの対象が、今の作品/技術に必要だった歴史上の事象。「不気味の谷」はその最たる例。

ファンもそうでない人も分け隔て無く楽しめるのもポイント。もちろんアニメシリーズ『チップとデールの大作戦』を観ていた人たちには堪らない作品ではあるけど、前提のバックグラウンドやルールは全て映画内で説明されるので誰でも観られる。

世界最大のスタジオ・ディズニーが、エンタメを腐らせる「bootleg=海賊版」へ喧嘩を売り、「フィクションへの憧れ」「役の自分と本当の自分」を鮮明に描き出した、直感で楽しめるエンタメだった。
セルフいじりの手法自体がそもそもコメディ映画の要素として食傷気味だけど、歴史上あらゆる作品を世に送り出してきたディズニーがやるから意味がある。

今作における某ヴィランなどは、彼がやるからこそ映える。虚構と現実の間には、いつも然るべきギャップがあるもの。我々にとっての大スターも、もしかしたら私生活の素行はとんでもないのかもしれない。

ディズニーは『シュガー・ラッシュ:オンライン』辺りから刃を自分へ向けることによって表現を拡張させる実験を行っているような印象(同作の強烈なプリンセスいじりは当時 賛否両論だった)。
夢を壊すなという意見も分からなくはないけど、こういうメタ視点が悪趣味ギャグに留まらず、創作への解像度向上へ貢献する未来に賭けたい。

エンドロールを除いたらおそらく90分弱の本編の中に、友情も愛もフィクションへの愛もイジりも何もかも詰め込んだ世界最先端のカートゥーンアニメ。『ロジャー・ラビット』をリアルタイムで鑑賞できなかった自分たちへのプレゼントと受け取った。

【余談】Disney+で観られるアニメシリーズ『チップとデールの大作戦』(1989〜1990)。第一話(Disney+だと第二話)から「メカの犬を利用して街中の野良ネコを拉致し 彼らの静電気を充電することで雷を発生させ街を黒焦げにしようと企むマッドサイエンティスト」が登場し非常におすすめ。
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