✔『発見の年』(3.7p)『最初の54年間ー軍事占領の簡易マニュアル』(3.3p)▶️▶️
ヤマガタ昨年参加作の中、政治力学色の強い2本。
『発見~』。今回のヤマガタの印象、何となく小粒かなと当初見ようかなというのも、金ももったいないしと省いてしまったが、これは作劇·作法、渾身の力作であるは分かる。他の小銭を惜しんだのも見とけばと遅い後悔をする。
2面スクリーンで酒場で性や世代の違う何人かが、同時に捉えられてるが、同時に喋ることはなく、そのうち一面を全く無音にしたり、映像自体を外してまっ黒くしたりしてくる、時にそこに歴史に関する文書が並列されたり、それまでの世代による社会·現実への向かい方の差から、背景の社会変動と直に向きあってくる。それにそれらとは別パート挟み込み的なニューズリール部分は別にして、まさか昔のものが残っていての、再構成·再編集に見せるのに、主だった映像素材に、今のデジタルではなく、20世紀に主流だった、傷やカット尻に前カットの残像残るアナログ·ビデオが素材として使われている。EECからEUへの移行がラジオから流れてる。それよりは安定したしかしHDではなくSDクラスのやや粗いのが、それから近年に跳ぶのかデケイド単位で経っての、当事者の解説·感慨シーンで用いられる。
スペインの地方都市カルタヘナ。中年以上は矢鱈自分の為もあり、1日を仕事を繋ぎ働きぬいてきた半生、若い者らにもそういう者もいるが、一般的には享楽的で退廃的な、酒場。1992年頃か、雰囲気が危険を察してたように、その後を大きく変えてくニュースが背後から聞こえ来てる。フランコ政権下の抑圧·貧困から、組合や組織も機能し、自らの張り合い·手応えも出来つつあった。しかしEU統合で産業構造は激変、グローバルな効率の為の大々的再編で、産地と市場が近隣飛び越え·整理されて、この地の農業自体が消えんとしてく。組織は無力で、ギリシャの二の舞にも。ドイツやフランスが一方的に肥える。フランコ政権下でも、貧しくも産業自体·生活費の拠点ベースがなくなることはなかった。大々的なデモや、議事堂焼き打ちに発展してく。スペインが、五輪や万博で表面上賑わう中で、地方が枯渇してゆく。
作品のドキュメンタリー·フィクションを自在に組立て、よりリアルに壮大に、EU統合以降の歪みをしっかりと現してく。共通通貨ユーロがドイツに集中的に競争力を与えてるくらいしか、具体的なニュアンス·状況の感じ取りには殆ど無縁だったので、壮大な力学バランスと危機の迫真を見た気がした。
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『最初の~』。何となくぐらいしか、中東情勢には詳しくないので、ある程度は勉強になるなぁ、ではあるし、力もあるが、目新しい世界が提示される訳でもない。パレスチナ·ガザと西岸地区を制圧して50数年、支配が領土化の目標が抵抗なく移行してく為に、司法も存在しないような軍司令部-国家保安局-捜査官による暴力と決定·施行によるパレスチナ人の恐怖と無力の自覚、イスラエル人の入植による人口バランスの変化、先住パレスチナ人の生活水準を上げ変らぬ日常が続いてる感触の植付け、抵抗運動を密告や逮捕恐怖により分断化する事、らが大々的に行われるが上手くいかず、蜂起やテロが公然化してゆき、目標は目前の報復だけに堕ちていってるとう、当時狂気の只中にあったを、今客観化できて証言する、元イスラエル兵士の指揮官から現地兵に至る時系列をある程度準じた証言集。
挟まれるモノクロからカラーの褪せたニューズリールは無音で、証言集は(全体にだが)何故かスコープサイズのフィックス·ストレートで、纏めたりけしかける監督は晩年勝風。それにしても、日本占領政策は何故稀なる成功、日本の堕落に成功したのか、そっちの方がスリリングで壮大なものになるかもしれない。世界最大のならず者国家·偽善国家、唾棄すべきアメリカに何故かこうも簡単に騙されたのか。第二次中東戦争やベトナム参戦の頃のアメリカは、最大の悪玉国家と世界からプーチン以上に忌み嫌われたは確かだったが。