いわし亭Momo之助

ひまわりのいわし亭Momo之助のレビュー・感想・評価

ひまわり(1970年製作の映画)
2.9
広大なひまわり畑が画面いっぱいに広がる。撮影を行ったのはウクライナということで ロシアが自分勝手な理由でウクライナに理不尽な攻撃を仕掛けている今日的事情を鑑みて 平和についてもう一度考えなおす機会 といったニュアンスも含め 日本各地で特別上映が行われている。
本作は イタリア映画としては異例のヒットを記録(1970年 洋画興行ランキング 5位)して以来 何度も劇場公開された日本人好みの作品といわれており 日本で3回目(!)のレストアが行われ これまで以上に オリジナルに近い仕上がりになった という経緯もあった。
というわけで 驚くべきことに 実家のド田舎の公民館的なところでも 上映会が催され 僥倖ともいうべき鑑賞の機会を得た。

ただまぁ 鑑賞後の感想は なんだこのカスみたいな映画は である

怪物的にホリが深く 道具がことごとくデカいソフィア・ローレンの風貌が全く好みではない ということは 相当な部分を占めたが それ以上に 映画界が空前のME TOO運動で大揺れの昨今 たわわなソフィアのおっぱいを必要以上に強調したような衣装や 結婚式の後 12日間の休暇を満喫する二人が 日々 セックスに明け暮れたに違いないと確信させる描写(ソフィア的にはOKだったんだろうか? はなはだ疑問である) ジョバンナ(ソフィア・ローレン)に弁解の電話をしたいアントニオ(マルチェロ・マストロヤンニ)が何故か 娼婦の家に行く不必要なシーンなど 引っかかるところだらけで ドラマに入り込めないこと 甚だしい。
そもそも 徒歩移動の途中で疲れ切って動けなくなり 置き去りにされた瀕死のアントニオを助けた親子ほども年齢の違うロシアの可愛らしい娘マーシャと 情の移りまくるいきさつとはいえ 重婚して 子供までもうけるアントニオって いったい何? と思う。イタリアでは 不倫やセックス三昧よりも たくさん メシを食う方が倫理的に攻められる と聴いたことがあるが あれ マジやったんや… それに 第二次世界大戦で 敵国であるロシアの地獄の戦線に送られたイタリア兵と現地のロシア娘が恋に落ちるというのも いくらマストロヤンニが男前とはいえ かなり不自然である。
ジョバンナが執念でアントニオの居場所を突き止めた時 アントニオは ありがちな記憶喪失という逃げ場も失い 妻をきっちり認識していたのだから この不倫は 確信犯以外のなにものでもないわけだ(爆) 帰宅後 怒り狂って アントニオの写真を破り捨てたジョバンナが 職場でいい関係になった男と再婚するのは この後だから ジョバンナには何の落ち度もない。アントニオが100% 一方的に悪い。しかも アントニオは未練がましく ジョバンナに やり直したい と無責任な電話をする。おさな妻マーシャはどうするのさ? あわよくば グラマーな元嫁(実は離婚してない)と可憐な若いロシア娘の二人の間を 行き来しながら 楽しもうという下劣な考えが 透けて見えて もう うんざりである。
1970年当時 この作品の異例の大ヒットを支えていたのは マストロヤンニ程の二枚目でもないくせに 本妻とおさな2号さんの間を 気ままに行き来する逢瀬を夢見て こういう旨味があるんだったら 海外に出兵するのも悪くないな などと不埒な妄想を張り巡らせた おっさんリピーターだったのだろうか。アホくさ。

この作品のどこが “涙あふれる悲しい愛の名作” なのだろう? 
誰か 教えてくれ