iandishot

こちらあみ子のiandishotのレビュー・感想・評価

こちらあみ子(2022年製作の映画)
4.0
青葉市子の主題歌を聴き、インタビューも読んで、気になっていた映画。始まってすぐスクリーンに広がる広島の海辺の街の風景の美しさに、観に来て良かったと思った。坂道と石、木立と風の風景の中であみ子の姿が生命力に溢れて、輝いて見える。
しかし、そんな子どもの特権のような世界の対極にある悲劇的な現実が、それもドラマチックというよりは、どうしようも無いような人の暮らしの現実が、あみ子の姿をだんだんと悲しくさせる。

あみ子が虫や木々、風や空に包まれていなかったらとても観ていられなかったかもしれない。でも、トランシーバーには誰も答えてくれなくても、自然はいつもあみ子の呼びかけに応えていた気がする。
残酷に思える決断をした父親にも、あの場所で生きるあみ子の姿が見えていたのかもしれない。
あみ子の生きる社会は、きっとそれほど優しくはないけど、世界はそれだけではないし、あみ子に接する人の心も拒絶だけでは無い。
重そうな映画だと思って鑑賞を迷ってる人には、是非観て欲しい。心に残る映画でした。
iandishot

iandishot