nt708

スティルウォーターのnt708のネタバレレビュー・内容・結末

スティルウォーター(2021年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

面白かったのは確かなのだがどこか物足りない。幸せの絶頂から転落していく様とそこから希望のある未来へと向かっていく展開に前半の重厚ながらも疾走感のある作りとの乖離を感じたのが原因だろう。

前半は親子関係がうまくいっていない中でも何とか娘の無実を証明しようと奮闘する父の姿を丁寧に描く。さらに、事件の真相が明らかになるにつれて貧富の格差や移民の問題も事件と複雑に関係していることがわかり、親子ふたりだけではどうしようもない現実に直面していることに観客は気がつく。

一方で滞在先のホテルで偶然隣の部屋になり、事件の真相を明らかにする手助けをしてくれている親子との関係も時間の経過とともに深まっていき、娘の仮釈放の際に親子と対面したことで幸せは最高潮に達する。

しかし、その直後に娘は自殺未遂。彼女がどれだけ傷ついているかを直感した主人公は真犯人を探すことにより力を入れ、さまざまな人の協力もあって居場所を突き止める、、恐らく私が物足りなさを感じたのはこのあたりからだろう。主人公たちはどのように事件の真相を明らかにするのか、彼らはどのように事件に折り合いをつけるのか、、この辺が後半の見どころなのだが、どうも納得しきれない終わり方をしていた(ここをどう感じるか次第で、本作に対する評価が分かれるように思う)。

とはいえ、『スポットライト』の監督だけあって画面から得られる緊張感とリアリティは素晴らしかった。今後も時代の流れに負けない作る価値のある映画をたくさん作って欲しい。
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