いずみたつや

スティルウォーターのいずみたつやのネタバレレビュー・内容・結末

スティルウォーター(2021年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

異言語・異文化間のコミュニケーションの可能性が美しく描かれます。逆にその限界も見せてくる。遠い国の他者との交流で見えた「心が通う」ことの希望が、血のつながった家族との間で儚くも砕け散ってしまうのは残酷な真理だと思います。

主人公は典型的なブルーカラー像とは少し違う。レズビアンの娘を受け入れ、異国での生活にも馴染もうとする姿は、現代を生きるひとりの人間として腑に落ちるものがありました。

金の地名ネックレスを買うセンスはどうなんだとか、フランスで出会った女性がファインプレーすぎるとか、いくつか強引な部分も見えます。何より引っかかるのは、娘の悪質さが際立ってしまっている点。

彼女を知れば知るほど赦したくなるという描き方をするのが普通だと思いますが、作り手の意図とは逆に彼女の軽薄で狡い部分が強調されてしまう言動が多かったように感じました。

「故郷の景色がまるで違って見える」という父の横で「この街は何も変わらない」と言わせたことで、彼女があまりに無知で無神経な人物に見えてしまった気がします。