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前科者のWICCAのレビュー・感想・評価

前科者(2022年製作の映画)
1.5
ドラマ版では新人保護司だった阿川佳代。数年経ち、順調にコンビニでの仕事と保護司の活動を続けていたものの、保護観察中の工藤誠が最後の面接に姿を表さず、そのまま姿を消してしまい…というお話。

佳代が保護司になった背景も描かれてていますが、う〜ん…やっぱりフィクション感半端ない。
保護司としては、情緒不安定すぎてとても危なっかしいです。
あと、「その動機なら別に保護司でなくていいんじゃない?」という疑問も湧きました。何故保護司なのかというのがドラマも映画もイマイチ理解し難いのだけど、原作漫画はもっと説得力ある描かれ方をしているのでしょうか…。
推薦されて、強い動機もなく足を踏み入れたという方がまだ理解できるかなぁ。

あと、対象者の面々の個々の設定や役作りはなかなか良いと思っていたけど、銀髪の彼はちょっとステレオタイプ過ぎませんかね。エンターテイメントに落とし込むためだとしても、全体のトーンがややバラバラで、まとまりがない感じが気になりました。色んな個性の人がいることが表現されているという見方もあるのかもしれないけど、それぞれのキャラクターが佳代と繋がって同じ地平に存在してる感じがしない。佳代とそれぞれの関係が個々に簡潔しちゃってる印象で、これは演出のせいなのか演技のせいなのかわからないけど、あくまでも佳代の物語として小さくまとまってしまっている。工藤誠の背景も、結局個人の物語として紹介したに過ぎず、もうちょっと社会化できなかったのかなぁ、と。

岸監督は日本でももっと社会派エンターテイメント作品をと考えられているそうで、実際に20代の保護司がほとんどいないことなどきちんと調べておられるようでした。ただ、社会派を標榜するには、刑事ものTVドラマの域を出られなかった感じで正直物足りなかったです。
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