このレビューはネタバレを含みます
荒廃した町に住み、不安にさいなまれ、カウンセリングと服薬を続けながらどうにか生活しているボーは、少し前に電話で話したばかりの母が自宅内の事故で死んだことを知らされる。
実家に向かおうとするボーに次々と不可解なことが待ち受けていて・・・
監督曰く、ユダヤ人版ロード・オブ・ザ・リングなんだそうで。
色んな人のレビューを眺めながら、なるほど、ヨブ記っぽいな~と思ったりするなど。そうすると母は神というより悪魔寄りな気がするので、神を母親に入れ替えたという監督のアイディアとは違ってしまうけども。
純粋に神話やファンタジーとしてみることもできるけど、幻覚や妄想の世界を生きていて親子関係に課題を抱えている人の視点だとを想像すると、結構リアルな世界観だったのではないかと思う。
途中で挿入される母の出産時の様子やボーの子ども時代のエピソード、後半の実家に展示されている母と会社の経歴を見て、以下のことを想像した。
・母は出産時、医療スタッフに悪態をついているので、もともと感情の起伏が激しく他責的で攻撃性が高かったと思われる。
・母の関り方の影響で、ボーは主体性や自己表現力が育めなかった。
・ボーはもともと自閉症傾向があったかもしれないしなかったかもしれない。いずれにせよ母はボーに障害があり一方的に子に問題があると決めつけていた可能性がある。
・ボーの幻覚や妄想は二次障害による可能性がある。
・お金と権力を前にすると、専門家も虐待に簡単に加担する。
あれ・・・これよく見かけるパターンじゃないか?
アリ・アスター監督作品としては色んな視点から眺められるのとヘレディタリーやミッドサマーよりグロく無い(比較対象に注意)と感じたので、繰り返し観よう。