「究極のボランティア」
香川まさひとの同名漫画を、「あゝ、荒野」の岸善幸監督が映画化。WOWOWでやっていたドラマシリーズから2年後で映画版はオリジナルストーリーで描かれる。
ドラマも原作も見てなくていきなりこの映画版を見たけど、問題なく見れる。恐らくドラマで保護司の対象となっていて、主人公の佳代に助けられたであろう元受刑者が何人か出てくるが、肩書きが表示されるので大丈夫。
まず保護司という職業があってこんなキツいことやってるんだっていうのに驚く。しかも無給。これ究極のボランティアだろ。無給では生活できないから理解ある店長の下でコンビニバイトしてるんだろうけど、そこまでしてやる理由が佳代にはあって、そこも語られるのでただの聖人じゃないってのも納得。その理由を話す場面は泣いた。
サスペンスという面では早い段階で犯人が判明するしどんでん返しみたいなのもないのでそういう点ではガッカリするかも知れないが、これはどっちかと言えばヒューマンドラマなんだろう。元受刑者にも何の罪を犯したのかっていう点で変わったりするだろうが、今回は殺人罪。対象となる工藤誠の生い立ちには救いがなく同情もあるが、やっぱり一般的にはフィルターはかかってしまう。そこを受け入れ寄り添う佳代の行動は本当に凄いし尊敬する。「苦しかったら声を上げてください」って台詞にこの映画の全てが集約されてると思う。
しかし警察の無能ぶりはこの手の映画では相変わらず。特に犯人を捕まえてるのに拳銃を取られて撃つのを許してしまうのは別の意味で絶叫したわ。あいつ懲戒免職もんだろマジで。
重いテーマではあるが面白かった。決してハッピーエンドとは言えないが、なんかスッキリした終わり方で視聴後感も満足。この先も佳代という保護司は一生涯この仕事を続けるであろう、そのぐらい主人公の決意を見れる映画でありました。
