映画の大半がクローズアップで展開するが、画面的に飽きることはない。
ジャンヌの悲しみをたたえた表情、審問官達の獣のような表情といった巨大な顔面がスクリーンから物凄い圧で迫ってきて、互いの神経をすり減らすような裁判の様子を生々しく感じることができる。
泣き顔の中に時折恍惚としたような表情も見せジャンヌという聖女を完璧に演じたルネ・ファルコネッティの圧倒的演技力と、火刑をきっかけにした市民による暴動シーンなど映像による力は、時に字幕や音楽すらも邪魔になるほどの迫力に満ちている。
ここまで古い映画になると普段なかなか観る機会がないのだが、今回思い切って観た甲斐は十分にあったと思う。