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英雄の証明のnt708のネタバレレビュー・内容・結末

英雄の証明(2021年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

宣伝でSNSを全面に押し出しているが、そこを強調することは本作において全くもって本質的ではないのでまずはその点を指摘しておきたい。

それ以上に本作が描こうとしたのは人間にとって善悪という判断がいかに危ういものであり、いかに周りから影響を受けているかということである。何よりも恐ろしいのが、本人が意図せずとも本人の知らないところで本人の評価が下されているということである。主人公が完璧な人間ではないゆえに、非常にリアリティを感じられ、恐ろしくもなった。

演出はと言えば、イラン映画の暖かくもなく、冷たくもない不思議な光が感じられるカラーグレーディングとテンポを生み出す構図とカメラワークを存分に感じられた。キアロスタミの映画との共通点も感じられ、彼の映画を観ると必ずしも眠気に襲われる私は、今回も御多分に洩れず…だった。

こういう映画も面白く観られるようになった自分はやはり映画に対して少なからず寛容になってきているのだと思う。どの映画にも良いところが必ずある。それを見つけて学びとするという取り組みはこれからも続けていきたいものだ。
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