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英雄の証明のバナバナのレビュー・感想・評価

英雄の証明(2021年製作の映画)
3.3
タイトルに着いている“英雄”とは、何か凄いことをした人が主人公なのかと思ったら、全く違いました。

主人公ラヒムは離婚した妻の兄から大金を借りていたが返せなかったため、民事で投獄されており、今日は2日間の仮釈放中だ。
というのも恋人のファルコンデが金貨の入ったカバンを拾ったため、これを換金してラヒムの借金を返せるのではないかと思ったからだ。

金の交換所で査定してもらったところ、換金しても借金の額には半分にも満たないことが分かったため、金貨は持ち主に返すことにする。
しかしその方法が、町に「金貨を落とした人いませんか?」という貼り紙を貼る、というもので、それを見て引き取りに来た女性に金貨を渡してしまう。
この件は刑務所内にも広まり、刑務所長は美談としてテレビ局にわざわざ取材をさせ、ラヒムはたちまち正直に金を返した“英雄”として世間から称賛される様になる。
また、チャリティー協会のイベントにも招待され、借金の1/5程の寄付金も集まり、就職先も紹介してもらえた。

しかし、ラヒムが有名になると就職予定先から、SNSに今回の件は詐欺ではないかという噂が広まっており、ラヒムは本当に女性に金を返したのか証明するよう言い渡されてしまう。
だが、どこの誰とも聞かずに金貨を返してしまっていた事から、ここからすったもんだが始まります。

あらすじを追うと、そもそも拾った金貨で借金を返そうとしたのが変だし、それを心変わりして止めたとしても、どうして拾得物を警察に持って行かなかったの!
直接持ち主に返すって、それが本当の持ち主か分からないじゃない?
間に警察入れてないから、ややこしい事になってんでしょ。
だから嘘に嘘を重ねて、信用を失っちゃったんでしょ。
イランでも借金で民事訴訟とか法律が機能しているのなら、警察通して金貨返すのが普通じゃないのと、日本人にはその時点から理解ができませんでした。

しかし、吃音の息子を自分のせいで晒し物にしたくない、というラヒムの気持ちはよく分かりました。
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