st

MEMORIA メモリアのstのレビュー・感想・評価

MEMORIA メモリア(2021年製作の映画)
-
広角の長回しフィクスによって絵画的に切り取られた風景。アンビエンス。記憶をめぐり自然から超自然(宇宙)へ。我々の意識は果てのない宇宙(=「映画」という視聴体験)を乗り越え、日常(=「映画館」にいるという現実)へと舞い戻る。ラストカットのシーケンスから連続したエンドロールが、異様な豪雨の轟き(=超自然)を経て、収録を終えた「REC」ボタンの押下音(=現実)により終劇を迎えるように。「穴」は文明批判の象徴(←トンネル建設)であるとともに文明以前への志向(←宗教的慣習)を喚起させる。イマジナリーとしてのヒト・モノ・”オト”は日常に組み込まれ、混ざり合う。轟音と静寂、黒沢清作品のような不気味さ。複雑な社会に生きる我々は、嫌にリアルでグロテスクな視聴体験を迫られる。
st

st