nt708

パリ13区のnt708のネタバレレビュー・内容・結末

パリ13区(2021年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

映像としては面白い点もあるのだろうが、映画を物語、あるいは脚本ありきで考える私にとっては、物足りない作品だった。

物足りなさの一番の原因はキャラクター性の弱さではないだろうか。本作には魅力的な人物が数多く登場するにもかかわらず、ひとりひとりの人物描写や彼らの関係を深掘りすることがあまりないため、映画として観客を惹きつける力が弱い、言い換えるなら観客が積極的な態度で本作を鑑賞しない限り、退屈に思ってしまう。

エミリーが登場し、カミルとの関係が描かれる最初の1時間弱は実に面白く鑑賞させてもらった。もしか本作はひとりの男性に翻弄される女性たちの群像劇で、最後に何かしらの種明かしと希望が観られるのではないかという早合点を1人していたのだが、その後の展開がいささか散漫で物足りなさを感じざるを得なかった。

それから本作をモノクロでやった理由。おそらく、過激な性描写を和らげるためであり、本作の主眼がそこにないことを暗に主張しているのだろうが、他に理由はなかったのだろうか。あるいは、本作をやるにあたって性描写を和らげる必然性はあったのだろうか。批判というよりも単純なる疑問として、今も頭の中がモヤモヤしている。
nt708

nt708