ワ

コンパートメントNo.6のワのレビュー・感想・評価

コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)
3.9
最近ようやく自分の好きそうな映画を鑑賞前からある程度見極められるようになってきた気がする。チラッとレビューとか読んで絶対好きだな〜と思って観に行ったら案の定好きなやつだった。やったね!でも自分の三半規管がオワリすぎててちょっと酔った。悲しい。

正直かなり起承転結がフラットというか言ってしまえば地味な作品ではあると思うけど、出てくる人物たち(と言っても片手で数えられる程しかいないけど)の嫌な奴加減も愛おしさもすごくリアルな温度感で好きだったな〜。メインキャラの名前でさえ途中まで進まないとわからなかったし、2人それぞれの生い立ちやバックボーンもそこまで描かれずに終わった。でもその情報の少なさがリアルで、心地よくて好き。
この人といるときの自分って好きだな、と思える人っているよね〜。なんか自然体でいられる気がするなってふと思えるような。ラウラがそうやって段々楽しそうな無邪気な表情をするようになるのが、可愛くて好きだった。リョーハも、最初の印象こそ最悪だけどとことんピュアで子供のようで可愛い。あの場面で「みんな死ねばいい」という言葉に辿り着く彼なりの不器用な優しさとあたたかさが大好きになる。

何よりも終わり方が可愛くって最高。リョーハが言葉の意味を分かった上であそこで使ったとしても勘違いしたままだったとしても、どちらだとしても良いのが良い。もし2人が2度と会うことはなかったとしても、あの時間が2人の人生に与えた変化はとても大きなものだったのだろうなと、静かな話の流れの中で確かに感じられる。

ハイスタ・ヴィットゥ!
ワ