(CAUTION(注意))
本作は人間の言語を介していない為、字幕などはございません!
その所為でメニュー画面がオデッサ・エンタテインメント配給作と同じぐらい手抜き。w
直立二足歩行の動物が二足歩行で歩き、社会を形成している世界。
その世界では現代社会と立場が逆転しており、人間は家畜や狩りの獲物となっていた。
”鹿”は人間を獲物として狩り、
”犬”は山奥に捨てられていた人間を拾い、
”牛”と”馬”は食肉処理場で人間を商品として扱う…
動物と人間の価値観が立場が逆転している世界を描いた、フランス産のサイレント映画。
台詞が無い映画と言えば以前見た「mute ミュート(2001)」が思い浮かぶが、あちらは3か所ほど台詞があったのに対して、今作は上記の警告文の通り、一切の台詞が発せられることが無い完全な無声映画。
台詞もなく、動物達が人間を”家畜”や”闘犬”にする姿を断片的に淡々と描いている。
画面は終始地味で低予算丸出しなのが伝わるが、映像や雰囲気作りはしっかりしている。
人間側が”飼われる物”として扱われる恐怖感、二足歩行で歩く動物という”飼い主”の不気味さが、地味ながらしっかりと伝わっている。
グロテスクなシーンは全くと言っていいほどないが、動物達が人間を冷徹に”処理”したり”処分”したりと、現実の人間の持つ野蛮さとかをドライに描いていた。
そしてラストシーンは…。 このラストは俺は割と好き。
ってな感じで映像面や演出面に関しては実験映画らしくかなり頑張っている本作だが、ぶっちゃけ作品自体はそこまで面白くはないです(おいおい)。
見せ場は全くないから全編淡々としてるし、各々のドラマも繋がってるようには見えないので散漫な印象を受ける。
尺が64分しかないので一応最後までは見れるけど、正直人によってはメッチャ時間が長く感じる程に苦痛だと思う。
…かくいう俺も片手間にRPGのレベル上げしながらながら見してたし。w
(ちゃんと見ろ)
良くも悪くも実験的な内容なので、人によっては本作に対してどういう印象を持つか分かれると思う。
個人的にはそこまでハマらなかったけど、まぁ偶にはこういう哲学的な作品を見て考えに耽るのもいいかもしれないと思うので、興味を持たれた方はそんな期待しないで見てみても良いかも。責任は取らないけどね。
…でもまあぶっちゃけ個人的には同じ実験的サイレント映画でも、お話に起伏があった「mute ミュート(2001)」の方が好きかな。(駄目じゃん!)