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戦場のピアニストのumetaのネタバレレビュー・内容・結末

戦場のピアニスト(2002年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ピアニストが主人公というので気になっていた有名作をようやく視聴。

ジョジョラビットから立て続けにナチス映画を見てしまい、なんかタイミング間違えたかもしれない…この2作品は(もしかしたら他のナチス系戦争映画も)人があまりにもためらいなく疑問なく人を排除するので
その描写が淡々としていて恐ろしい。なんの理由もなく無造作に人に銃口を向ける人間と、叫び声をあげる暇もなく伏していく人間が、当時のリアルだったのだろう。

その一方で、その空気に抗い、理由なく虐げられる人を助けようとする人もいる、それに救われる。助ければ家族まで危険が及ぶかもしれない状況で、それでも助けようとする人々に主人公は生かされる。

周囲一面焼け野原の、取り残された廃墟で、主人公を見つけたドイツ軍の将校も、疲れ果て、この戦いの終わりを近くに感じることで、争いに意味を見いだせなくなっていたのだろう。
将校に促され、主人公が廃墟でピアノを弾くシーンは、悲しくも、美しくもあった。争いから遠く離れたところにある、美しい音楽。
自分たちが無造作に銃を向けた相手が紡ぐ、美しいものを見て、何を思ったのだろうか。

この将校に食べ物を運んでもらい、主人公は生き延び、(将校にもらったコートのせいで撃たれそうになったところは、ここで!?とハラハラしたけど)
無事ピアニストとしての生涯を生きる主人公とは対象的に、助けた側の将校は戦犯として処刑される。
戦争は人を人としてみる事をやめ、人が人として見られることもできなくなるところに
怖さと哀しさがあると思う。
次は、少しハッピーな映画でも見たいなというところ。

主人公のシュピルマンを演じるエイドリアン・ブロディがいちいち画面の中で絵画のように美しく、他作品も見てみたくなった。あまりキツくない、主に戦争でないやつがあるといいな…笑
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