来夢

戦場のピアニストの来夢のレビュー・感想・評価

戦場のピアニスト(2002年製作の映画)
4.4
ホロコースト系の映画の中でも、ユダヤ人が追いつめられていくさまや、ポーランドの情勢がかなり分かりやすく描かれている作品だと思います。
ノンフィクションの原作にポランスキー自身の実体験を反映しているからこそのリアリティかな。
この映画、主人公はただの凄いピアニスト。シンドラーのリストのシンドラーみたいに大勢を救ったヒーローでもなければ、ライフ・イズ・ビューティフルのように息子のために命を懸けて演じ続けたヒーローでもない。ただただ戦争を生き延びただけのただのピアニスト。たまたま運が良く死を免れただけだ。どんな凄い人だって、どんなに喧嘩が強くたって、お金持ちだって、生き残る確率はあがるかもしれないけれど、だれもがいつ死んでもおかしくないのが戦争。主人公だから生き残ったんじゃなく、生き残ったから主人公になっただけ。そんな普通の人が戦場で生き続ける姿に戦争の恐怖と凄惨さを感じるのと同時に、その生命力が胸を打つ。
ピアノは戦場で武器にはならない。でも彼が生き残る為には必要だったのかもしれないね。
ユダヤ人が英語を話すのは、監督のポーランドへ対するある種の想いがあってのことなのかなと勘ぐってしまうけれど考えすぎだろうか。
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