がんちゃん

ブレードランナー ファイナル・カットのがんちゃんのレビュー・感想・評価

4.5
制作側で揉めに揉め、公開後も繰り返し再編集された結果、次第に観客が深読みを始め、いつしか「SF映画の金字塔」と呼ばれるようになった作品。

■強力わかもと■
新宿歌舞伎町からインスパイアされた無国籍で頽廃的な世界観はその後の「未来都市」のイメージを決定づけた…外人はネオン好きだよね〜。昔カラ館でバイトしてたけど看板の下にカナブンの死骸が凄い溜まるからね!
80年代当時はまだ日本がそれほど有名でなかったのだろう、それこそ「東洋の神秘」とかいって西洋人から物珍しそうに見られていた感じがビンビンに伝わってくる。ちなみに今これを真似したら超ダサいので注意ね。

■レプリカントの魅力■
個人的には愛玩用レプリカントのプリスが1番印象に残っている。池袋にいそうな神待ち少女を装ってセバスチャン25歳(童貞)の家にまんまと上がりこむプリスちゃん。ドール愛好家な彼の好みに合わせてか、白塗りゴスメイクで更に気をひく。しかし全てはタイレル社に浸入する為にリーダーのロイが仕組んだ美人局作戦だったのだ!うろたえるセバスチャンの眼前でねっとりキッス。でも許しちゃうセバスチャンNTR属性かよ…。
ここでもレプリカント2人による目の演技が秀逸。こわー。
ちなみにA.I×小悪魔の系譜は2016年公開の『エクス・マキナ』にて、童貞好みのちょいダサワンピを着たエヴァちゃんに継承されている。A.Iってやたら童貞に厳しくね?(笑)

■オレ様の元祖ハリソン・フォード■
壁ドンからの言葉責めを使いこなすドS男、デッカード。美貌の社長秘書レイチェルへの扱いが酷い。そのくせ大して活躍しないという情け無さも母性本能をくすぐられるポイントか。この不完全さがいい具合に人類代表である。

■本日のイルミナティ■
繰り返し用いられる「目」の演出。
レプリカントの創造主=タイレル社。
本社は巨大なピラミッド型。
頂上には知恵の象徴であるフクロウ。
おやおや
香ばしいニオイがしてきましたよ…

一見すると支配階級(権力者)と隷属階級(我々)の構図を成しているかのように見える。しかし、支配者であるはずのタイレル社はピラミッドの頂点が欠けた台形をしているのに気づいただろうか。
劇中で目を潰された者は誰だったか?
つまりもっと上がいるということ。

完璧な存在、レプリカント。
ロイがラストでみせた神対応はおおよそ、我々人類には不可能な選択ではないだろうか。

人の手で造られた存在がいつしか創造主を超え、やがて人類に取って代わる日が来ることの暗示なのだろうか。
がんちゃん

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