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クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲のkjのレビュー・感想・評価

4.5
しんちゃん映画最高傑作ですわ…。
他の一般映画と比べてもマジで面白い。
これを2001年に上映するセンスが凄い。この頃は時代に閉塞感があったもんね、新しい時代に希望を持てない、氷河期だったもんね。

一方で昭和の時代はモーレツで、東京オリンピックから大阪万博で世界に日本の復活劇を見せつけ、高度経済成長をひた走った日本は世界にジャパンアズナンバーワンを轟かしたんだもんね。

オトナたちが子供の頃に夢見た21世紀はこんなもんじゃなく、もっと夢と希望で溢れた世界の筈だもんね。

そんな古きよき昭和の幻想に囚われたオトナたちを魅了する20世紀博。童心にかえり夢中になれる何かをオトナたちは探していたのかもしれない。記憶の中の過去は美化されて、あの頃はよかったと簡単に浸ることが出来る。とても気持ちのいいものだよね。

今を生きるということは決して楽しいことばかりじゃないから。現実は辛いこともたくさんある。

でもこの映画は、そんな現実だけど、辛いこともたくさんあるけど、でも前へ、次の時代へ、今を生きるんだ!と背中を押してくれる。

ひろしの回想は楽しい思い出ばかりではなかった。辛いことやうまく行かないことを乗り越えながら、みさえと出会い、しんちゃんが生まれひまわりが生まれ、家族でささやかな幸せを生きている。

これら全てがひろしの今を作り上げているんだ。過去の甘く懐かしい匂いよりも、今の匂いの方がいい。辛いけど幸せだよ。

ケンもそんな家族の姿を見て揺れる。昭和の匂いに包まれ気持ちよく過去を生きてた町の人々も、しんちゃんの姿を見て我に返る。

ボロボロになりながら、未来を掴みとるために必死に走る姿は、かっこよかった。
この先どんなに辛い未来が待っていようと、必死に生きるんだ!と。前を向いて生きるしかないんだ!と。

自分自身も失われた30年しか知らず、時代の閉塞感を呪いたいときもあったけど、昭和の時代を羨んだときもあったけど、それでも前を向いて生きていこう。令和の時代に生きる子供たちに、残すべき価値のある未来を創るために、今を生きよう。頑張って前を向こう。

この映画は、本当に素晴らしい。毎回ひろしの回想で涙腺崩壊する。ひろしと同じように家族に囲まれ、今が幸せだと噛みしめられることに感謝したい。

すべての疲れたオトナに勧めたい、不朽の名作。

書き忘れたけど、春日部防衛隊のギャグシーン等、シリアスとギャグのバランスも素晴らしいです!(笑)
サトーココノカドーから幼稚園バスジャックは終始爆笑です!
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