今年初映画にして、早くもトップに入るくらい素晴らしかった。
良い意味で大ダメージをくらった。余韻が凄い。天音くんの才能が爆発してる。
天音くん主演で、脇を太賀や松本穂香、菅田将暉らといった自分得すぎる神キャスト陣が固めてて、公開が発表された時からずっと楽しみにしていた本作。
笑いに取り憑かれた男、ツチヤタカユキの半生を、その実話を、岡山天音が見事な体当たりで演じきっている。スクリーンに映っていたのは間違いなく岡山天音に憑依した、地獄を生きるカイブツだった。
終始彼の鋭利な視線に心を刺されまくったし、地獄で何度ももがき苦しむ姿に目が離せなかった。
ひたすらに苦しく、過酷な日々を生きながらも、「笑い」を求めて足掻き続けるツチヤはまさにカイブツで、そんな彼の数少ない理解者であり、サポートをするベーコンズの西寺(太賀)や、ピンク(菅田将暉)の存在が唯一の光であり救いだった。
でも、人間関係不得意なツチヤは彼らが差し伸べてくれる手も上手く握れず、期待に応えてあげられなかったのが心苦しかった。
フェンス越しの西寺とツチヤのシーンや、居酒屋でのピンクとツチヤのシーンは本当に素晴らしくて、思わずうるっときた。
個人的にやさぐれた役の菅田将暉が好きだから、そんな彼が観れて嬉しかったし、太賀は今回も安定して良かった。大好きな役者。
同じくツチヤに寄り添おうとする関西弁の松本穂香も最高に良かったし可愛かった。ツチヤのおかんを演じた片岡礼子も、距離感というか、息子を見守る母のリアルな眼差しを見事に表現していて凄かった。
そして何より岡山天音の凄まじさ。天音くんの演技力半端なさすぎて、主演という意味だけでなく、この作品は間違いなく彼の独壇場であり、彼のための映画でもある。ツチヤという人間が、カイブツが完全に憑依して、狂気と異彩と孤独をとんでもない熱量で放っていた。
前から大好きな役者だったけど、今作を観てより一層彼の虜になった。やっと世間に岡山天音の「ヤバさ」がバレたか、という感覚。
あと、令和ロマンが漫才指導をしたベーコンズのネタのシーンは凄く面白くて、本当に劇場にお笑いを観に行っている様な感覚だった。
ベーコンズのモデルがオードリーだったことは後から知ったけど、確かに板橋はまんま春日的なキャラだったかも笑
あと、トカゲが絶妙に良いキャラしてた。あいつ好き。
自分も人間関係不得意な人間だから、ツチヤに共感する部分はあったけど、反対にそこはちょっと理解出来ないって部分もあって、ツチヤという人間をどう解釈するか、捉えるかで本作にハマれるかが変わってくるのかなと感じた。
でも、ツチヤの何回地獄を見ても諦めず、もがき続ける姿勢を観て、胸を打たれる人は必ず居るはず。何かに必死になって頑張っている人に特に観てほしい作品だと思った。
どこに行っても地獄。でもその地獄で生きるしかない。
ラストのツチヤの表情が今も脳裏に焼き付いて離れない。
傑作。
