てる

THE FIRST SLAM DUNKのてるのレビュー・感想・評価

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)
4.7
星4つ半
完璧だった。本当に面白い作品だった。
これは、にわかファンだからなのかしら。ガチファンはこの作品を観てどう思うのだろう。

高校生の頃に後半の方を読んでいたため、山王戦の話しは知っていた。その後のエンディングも。
ただ、10年以上前に読んだ作品であるし、最初から最後まで読んだわけではなかった。なので、かなりのにわかファンなのだ。

正直観ようかどうかも迷っていた。にわかファンであるし、予告のカクカクのCG映像も何やら違和感がある。さらに、原作者本人が監督というのも如何なものか。漫画家が映像作品の監督なんて出来るのだろうか疑問であった。しかし、30代の男子であれば、胸熱な作品であるわけで、話題作なのは公開前からわかっていた。
時間が空いていたし、話題作りに観てみようかくらいの軽いノリで観に行った。
そしたらとんでもない。すごい作品だった。
これに感動しない人はいないのではないだろうか。

これはただの青春バスケ作品ではないのだ。人間ドラマなのだ。
リョータの話を軸にし、湘北の出場メンバー全てのエピソードを用意している。1つの試合の中に、スラムダンクという31巻もある作品の全てが詰まっていた。
さらに、原作では描ききれていなかったリョータのエピソードを加筆している。
原作ではあまりフューチャーされないが非常に人気のあるリョータを主人公にするというのもセンスを感じる。そりゃ原作ファンでも観たくなるチョイスですよね。
リョータはそんなに複雑な家庭の事情を抱えていたんだねぇ。
非常に切なくて、でも、美しいサクセスストーリーでした。
なんだか自分の年齢だとお母さんの方に共感してしまって、よくもまぁ、こんなに立派になってねぇなんて感じて泣いてしまいそうになりました。

でも、もちろん他の選手の話しも面白い。
ピンチになる度に様々なエピソードが折り重なる。そのエピソードを観ると、優勝候補の山王相手に信じられない力や根性でポイントを取っていくが、それも無理がないように見えてくる。
皆が皆。様々な想いや事情を抱えて、それでも負けじと不屈の精神で今に至るわけだ。そりゃ応援しないわけにはいかない。
全てのキャラクターを好きになる。全てのキャラクターに共感する。全てのキャラクターを応援したくなる。
その掴み取った勝利は奇跡じゃなくて、必然だとそう思わされるのだ。
W杯の日本チームの頑張りを観たから余計にそう思うのかもしれない。

井上先生、疑ってすいませんでした。全ての演出が完璧でした。特に音楽の使い方が上手。ここぞというときに、一番ほしい熱いBGMが流れて、物語が最高に盛り上がる。漫画家とは思えない手腕でした。
最高に熱くて、最高に切なくて、最高に青春していて、最高に感動できる作品でした。
てる

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