じぇいらふ

都会のアリス 2K レストア版のじぇいらふのレビュー・感想・評価

3.9
🚘ヴィム・ヴェンダースレトロスペクティヴ&彼の作品観まくらんかシリーズ②📷

ロードムービー3部作のひとつ。後の『パリ、テキサス』に通じる、大人と子供の旅ばなし。初鑑賞。。。思ってたのと結構違う😅もうちょっと明るい珍道中だと思ってた。ヴェンダースなのにそんなはずはなかった笑でもよかった✨

冒頭の説明で、公開当時はスタンダードサイズだったが、本来撮影はワイドサイズで作っていたのでレストア版ではそのように変更した~とのこと、へえ。

空に旅客機✈️。タイトル。フォントが良い、ファンタジー映画みたい。海岸。橋の下で何枚も同じ写真を撮る男。何やってるのだ??~はじまり

アメリカで取材中のドイツ人作家フィリップは、締め切り過ぎてるにもかかわらず写真ばかり撮って全然原稿を書けないでいる。ドイツに帰国すべく空港で、少女アリスとその母と出会う。オランダ、アムステルダムで母親が行方不明になり、フィリップとアリスはしかたなく、少ない情報を元にアリスの祖母の家を探すことになるのだが。。。というおはなし

16ミリの粗い画面と白黒。車の移動やモノレールなど正面向かって撮った画面がとてもロードムービー。いっしょに旅行している臨場感🚗🚝

主人公フィリップ:『まわり道』と同じリュディガー・フォーグラー。どうやら3部作は全て彼が主役らしい。写真家でもないのに写真ばっかり撮って、原稿書けない言いわけばかりの作家。今作も典型的なだめ男主人公。いつもお金ない。モーテルでテレビ壊すから金無くなるんじゃね?笑。でもなんか憎めない感じ。相変わらずの、うだうだ、ぶつくさしたヴェンダースの旅。

彼の一人旅がアリス親子と遭遇してから変化する。フィリップとアリスの出会いの回転扉のちぐはぐが面白い。だめ男と一緒になったアリス母も結構だめ親で別れた男のせいで、なんと娘を置いていなくなる。そうしてアリスとフィリップの旅が始まる。

トイレでも引きこもるアリスとフィリップの祖母の場所を聞き出す件が面白い。オランダって結構いろんな地名あるのね。

アリスはまだ9歳だけど女の子だからませてて、生意気で、でもやっぱり子供で、大人になりきれない男フィリップとの良いコンビ。
互いに悪態をつきながらも、だんだんと良い感じの雰囲気になっていくのが良いです。

広いオランダで家の写真しかないのに探すとかかなりの無理ゲー、それに付き合い続けるいい人フィリップ。

川で泳ぐシーンと珍妙な体操シーンの互いに距離が近づくシーンのほっこり感✨

途中途中の展開で、アリスの感情が、フィリップを見知らぬあやしいおっさん⇒お父さんの代わり⇒好きな男性に変わってくのがわかるのがいいです。そういう意味ではやっぱりアリスの映画です。

終始流れ続ける、悲しげなアルペジオが全体的になんか暗ーい雰囲気を助長します。よくあるお涙ちょうだいにならない感じがいいのに、音楽だけ情緒的過ぎるのはちょっと気になる。何度も聞いて耳に残る🎵

今目線でみると結構やばい少女連れ回し旅なんですが😅どうやらお話はあいかわらずのたいした事件でもない感じで終わります。

ドイツ人ヴェンダースが撮るニューヨーク、アムスのモノレール、空港のコインテレビ付きの椅子、チャックベリーのライブとかとか、随所に面白い場面。

テレビ画面がやたらと流れるが、映画派ヴェンダースのやたら悪態つくテレビ批判が若いよね。