とみやま

アステロイド・シティのとみやまのネタバレレビュー・内容・結末

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

非常に平面的でおしゃれな画が絶えずスクリーンに映されるこの雰囲気、この匂いは、ウェス・アンダーソンだなー、としみじみ思う。

ストーリーはあるけど人物の感情は深掘りせず、おしゃれな画にあわせて俳優たちが言葉を喋って移動するので、ドラマよりも画を見せたいんだろうなと。前作の「フレンチ・ディスパッチ」にもその匂いはあった気がする。この作品は、ドラマ的な要素を取り除いたわけではないんだけど、物語に登場人物の感情が乗ろうとしたタイミングで、別のシーンが始まってしまう。
たぶん、ウェス・アンダーソンは「ドラマ」に興味がなくなってるのかもしれない。だからこういう作りなんだろうと頷ける。正直言って、全体が平坦で眠くなった。が、簡単に「これはないでしょ」と割り切るのもちょっと…と思う。この映画で寝てしまってもそれなりに満足して映画館を出ることができると思うから。つまりそれって、ドラマではなく映像センスに満足してるということなので、この映画の「割り切れなさ」が生まれる。
だから、ウェス・アンダーソンが「ドラマに興味のないハイセンス映画」を作るまでの発展途中段階として見ると納得する。いつか冒頭30分で寝落ちして「いやー面白かった」と満足して映画館を出る日が来るのかもしれぬ。

個人的には、「劇作家と劇団のバックステージストーリー」には興味が持てず眠かったので、「アステロイド・シティ」の話をいちいちぶつ切りにしないで欲しかった。画が平面的だしドラマもないため、ただでさえ眠いのに…。とか思いながら見ていた。
そしたら終盤で「目覚めたいのなら眠れ!」「目覚めたいのなら眠れ!」と煽るシーンが始まったので「ちょっと待った!分かっててやってんの!?」と少し笑った。エンドクレジットの音楽も「Fall A Sleep〜♪」とか言ってる。本当に寝かせにかかってた可能性あるな。
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