真世紀

呪術召喚/カンディシャの真世紀のレビュー・感想・評価

呪術召喚/カンディシャ(2020年製作の映画)
3.3
フランスの郊外、団地が立ち並ぶ。ヒロインはスプレー缶を手に高架下や高層廃墟にて仲間二人と落書きアートが趣味。ある日、モロッコ由来の「アイシャ・カンディシャ」の都市伝説を知る。作中では、16世紀のモロッコで夫をポルトガル軍に殺された美貌の女性が兵士らを誘惑しては殺害という伝説が紹介される(検索するとそういう歴史的伝承を含まぬ、男性を誘惑する女怪が先行するみたいだけど)。

自らの血で五芒星を描き、その名を呼んで召還すれば願いをかなえるという話を聞かされての帰路。よりを戻そうと待ち伏せしていた元カレに殴打、レイプ未遂されたヒロインは自宅にて召還実行。その夜のうちに元カレは何かに追われて路上に飛び出して交通事故死。

だが、それにとどまらず彼女の周辺でボンクラ仲間の関係者それも男性ばかりが命を落としていく。実は呼び出されたカンディシャは六人の男性の命を奪わなければ戻らない存在なのだった。

現代フランスでのイスラムの悪魔祓い儀式など、なかなか類例の思い付かないシーンも有るが、ヒロインら三人が女性であるため、直接的な危害の対象外である点、そして、観ていて「キャンディマン」が比較対象としてついつい頭から離れないのは難点か。

カンディシャ、ベールに隠した美貌かつ時にはお胸もさらし、そして、下半身には蹄のついた脚と妖女っぷりを発揮。そして、当初の姿を見せてビビらせから、殺害を重ねる度に思いの外、パワー溢れ過ぎる直接攻撃を披露、なんだか巨女化もと一部の人の性癖に刺さりそう(「あんたに刺さってる、刺さってる」という指摘は無視する)。

北関東の団地味を感じる現代フランス郊外の多民族な人々の織り成す地域社会、そこに暮らす若者らのカルチャーの片鱗(ストリートアート、「ワカンダ・フォーエバー!」、ラモーンズTシャツ)を垣間見られるのも一興。
真世紀

真世紀