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ある男のcinemakinoriのレビュー・感想・評価

ある男(2022年製作の映画)
4.0








“私は一体誰の人生と一緒に生きてきたんでしょうね”














出張先のホテルにて鑑賞。


大好きな女優のうちの一人、安藤サクラが出演しているだけで無条件で観たくなる。
と言うわけで、全く予備知識なしでの初見。







いい。



こう言うドラマは好物。



人生、右へ向かったり左へ戻ったり、、、
流転や清算、リセットやリボーン。
こんな想いに苛まれ想い悩み、過去の自分を全て消して新しい自分として歩きたくなるような埃、、、叩けば出てくる50代。
まるで自分に問われているような映画だった。

あんたは誰?

と。


平凡とは程遠い自分の人生、家庭環境、そして今の妻や子との“家族”としての普通とは違うソレらが、この作品を観ていると、
「だからどうした?」「幸せってなんだ?」「家族とは?」
と、ずーっと聞かれているようでむず痒くもあり安堵にも似た答え合わせにもなって行くから不思議。




連なる役者陣が兎に角素晴らしい。
安藤サクラの何とも言えない幸の薄さ漲る名演技は言わずもがな。
エリート弁護士の一面と在日3世と言う複雑な心境を抱えながら、“ある男”の答え合わせ案件を追い続ける事で、反射する自分自身と照らし合わせながら“現実”を葛藤するセンシティブな役柄を妻夫木聡が好演。
そして、この作品のキーマンとも言える“ある男”扮する窪田正孝の追い詰められた迫真の演技。
出番数で言ったら最も少ない組であろうにも拘らず、圧倒的存在感とヤバさを醸し出す柄本明。
そして、忘れてはならないのが子役陣の演技の上手さ!
良い作品でも子役によって、少し冷めちゃうパターンって意外と有るのかなぁと個人的には思っていて、そう言った不安要素を本作の子役達は一切払拭してくれる素晴らしい演技なのがグッと心に沁み渡るプラス要素。



これ
原作が読みたくなる作品だなぁ〜と言うのが鑑賞後の感想。
原作で細かな個人描写をインプットした上で、この役者陣の名演技を楽しんだ方がきっと面白いんだろうなぁと。



久しぶりに、粘りが有って噛み応え充分な邦画ドラマを堪能出来た。












“じゃあ、この人は誰なんですか?”
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