観ようと決めていた1本。あまり観る機会のないデンマーク映画だけど、とても良い作品だった。以前観た『わたしの伯父さん』も良かったし、私の好みに合うのかもしれない。
突然両親から離婚すると聞かされて、しかもその理由が父親が女性として生きたいからというのは、例え両親に離婚の兆候があったとしても、どちらもは受け止めきれないなと思った。だから、11歳のエマが動揺し、外見が変わっていく父親に戸惑い、自分の態度をどうしたら良いか分からず混乱する姿は、むしろちゃんと父親と向き合おうとした証でもあるように思えた。
エマが、どんどん女性に変化する父親に戸惑う一方で、姉のカロリーネはわりと早くそんな父親を受け入れていて、エマとは対照的なその柔軟さは印象的だった。ヘレには理解して貰えず離婚に至り、エマとも親子の距離感が離れてしまった時、トマスではなくアウネーテとさらりと呼んでくれたカロリーネの存在は、大きかったんじゃないかなと思う。
この映画、監督の実体験を基にしているというのにちょっと驚いた。でもだからか、エマのどうしようもない苛立ちや寂しさや言葉に出来ない感情の絡まりに、寄り添って観ることが出来たように思う。スマホが映した家族の姿は、ビデオカメラに残る家族の姿が物語るものと変わらず、それがとても素敵だなと思った映画だった。
#6_2022
