イベリー子豚

フタリノセカイのイベリー子豚のレビュー・感想・評価

フタリノセカイ(2021年製作の映画)
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予備知識・あらすじは入れずに観て欲しいです。


【本気】のフィクションは
ドキュメンタリーを超えますね。

脚本・撮影が神がかってるからでしょうか。

二人のカップルの人生を疑似体験。

エンタメという物差しでは測れない密着度なので
スコアレスです。


これだけ普通の人間の【性】と【真】に
ドラマティックな装飾をほぼ導入しないで
肉薄できるって……。

実際、人間関係だって感情の移り変わりだって
これぐらい不条理で適当で
モヤモヤするもんですもんね。

スパッと割切れない、ズルズル引き摺る、
一歩進んで五歩下がる、みたいな。

当人には日常の選択でも
第三者にとっては
「自分だった絶対にこう!あり得ない!」の
連続人生なワケじゃないですか。

義理人情サイコパス・拝金主義者以外は
複雑なしがらみ迷宮で踠く毎日。

スーパー・ナチュラルとはこの映画のことですよ。

絶対に片山友希さんのベスト・アクトだし
漫画実写常連の板東くんも
リアルな【男性】像の悪い見本として
日頃の自分の行いを省みてしまいます。


最悪なプロポーズ、喫茶店での【お願い】、
その後のベッドシーンは
『愛うつつ』の邦画史に残る、
喧嘩シーンに並ぶほど心臓が潰されそうでした。


【当たり前の、ありふれた幸せ】を見失いがちで
ついついニーチェしたり
自殺願望強めの絶望学生や
他人にモラハラしてる自覚のある良くない大人に
ぜひ観て欲しい。


ただかなりタフでハイカロリーなので
観賞後は「ランジャタイ」の「T.Mラーメン」のネタでも観て心の胃を休めてあげてくださいな。