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さがすのstのレビュー・感想・評価

さがす(2022年製作の映画)
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英題はMissing。描かれるは、喪失(Lost)ならぬ捜索(群像)劇。卓球のラリーが、①バディ(相手)を<見つけ出す>ことと、②相手と<向き合う>(=対話する)ことの象徴(あるいは装置)として用いられたように、物語は結末の読めない(本当に読めない)ドタバタ展開から父と娘の対話へと収斂していく。コソコソ自殺幇助に手を染めていた父と、全てに気が付いていた娘。「忘れたらあかんで、私のこともおかあちゃんのことも、全部。」がパンチラインすぎる。

「何の勝負やねん」の天丼も虚しく、親子のラリーは優勢/劣勢の逆転により「球=家族を繋ぐもの」(cf. 母の臨終には握っていた球がこぼれ落ち山内によって踏み潰されていた)を失い、父と娘のラリーは空想であったことに気付かされる。2人はネットを隔てていて(つまり、"触れ合う"ことがない)、最終フレームもネットにドリーインしていくというのも実に示唆的。(この映画で佐藤二朗と伊東蒼が"触れ合って"いる描写ってあったっけ?って思ったけど、救急車で運ばれる前に思いっきり抱擁してましたね……) 続くエンドロールでは白文字が虹の構成色に画面中央で一瞬変わってまた白に戻ってるのは、虹=希望が一瞬チラついて絶望へと舞い戻るということを意味するのだろうか。

清水尋也は『ミスミソウ』に並びサイコパス役どハマりしてるなあとか、"ボデー"を"透明"にしてたり『怒り』の森山未來みたいな身のこなしさせてるなあとかを思いつつ良い役者だなあと思った。あと成嶋瞳子が出てる映画は本当にハズレがない。。。カメラマンの池田直矢氏のインタビュー読んだけどこれLUMIX S1Hで撮ってたのか。。シネマカメラと遜色なさすぎるし、50mmの300円くらいのレンズ使ってたってのもやばい。『岬の兄妹』同様、素晴らしい作品でめっちゃ好きです。松浦祐也も和田光沙も出てたみたいだけど全く気付かなかったな。。。
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