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パワー・オブ・ザ・ドッグのぴよぴよのレビュー・感想・評価

パワー・オブ・ザ・ドッグ(2021年製作の映画)
4.2
ベネディクトカンバーバッチ❣️

その独特な顔立ちと、他を寄せ付けない雰囲気がちょっと苦手だったけど「クーリエ最高機密の運び屋」「モーリタニアン黒塗りの記録」と立て続けに出演作を観て、その気持ちは払拭された。

見事な演技力に裏打ちされた人物描写。独特の顔立ちが光る。


冒頭から気持ちがザワザワする。何故だろう?不穏な空気。穏やかで身綺麗な弟と、粗野で口の悪い埃まみれの兄…兄は常に弟を罵り、いつも騒ぎを起こす。

嫉妬?愛情?偏見?複雑な心情がないまぜになった強い光を放つ目。カンバーバッチが見事に表現するこの兄が、気持ちをざわつかせる。

舞台は1920年代のモンタナ…兄弟は牧場を共同経営している。

弟(ジェシープレモンス)は夫を亡くした子持ち女性(キルスティンダンスト)に恋をして、妻に迎え入れる。その存在が気に入らない兄は、ことごとく彼女に辛くあたる。

そして妻の連れ子が大学の休暇を利用して牧場にやって来て、事態は変化を迎える。何かが起こる兆し…兄の秘密を垣間見た彼は、何をしようとしているのか?


屈折した心理、抑圧された欲望、不穏な存在感…女性や同性愛者を蔑視し、西部の強い男そのものを体現している彼の本当の姿を、画面は徐々に炙り出す。

弟の妻が繰り返し練習してもなかなか上手くならないピアノ曲。当て付けのようにバンジョーで軽やかに弾いてみせる兄…何度も流れるその曲が息詰まる空気感を増幅させる🪕

美しく雄大な自然の風景と馬の姿は、クロエジャオ監督の「ザ・ライダー」を思い起こさせる。

「ピアノレッスン」の監督ジェーンカンピオンの11年振りの新作…力強く男らしいカウボーイ達の映像に、女性らしい繊細さを滲ませる。

ザワザワは最後まで継続…驚愕の結末に余韻がいつまでも続く。


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おまけの一言

観てる間「最後の決闘裁判」を思い出してた。男性2人に女性1人だから?気持ちがザワザワするから?何故?

と思ってたら…弟役のジェシープレモンスは、マットデイモンのそっくりさんとして有名で、彼の幼少時代を演じた事もあるんだって!

通りでね〜!アダムドライバーとカンバーバッチも個性的な顔立ちが似てるっちゃあ似てるし…謎が解けてスッキリしました😅
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