えむ

ベルファストのえむのレビュー・感想・評価

ベルファスト(2021年製作の映画)
4.3
元々は映画の内容が国内で発表される前から、ジュディ・デンチ出演作ということでクリップしていた作品だけど、結果、観て良かったと言えるものでした。


1969年のアイルランド・ベルファスト。
プロテスタントがカトリックを排除しようとする動きが高まり、ご近所同士の絆が深い街の中で宗教の違いを理由に紛争、対立が起こっていく。

もちろんイングランドとアイルランドの溝の深さや長い歴史の中でマグマのように溜まっていったものがあるのはわかっているけれど、分断の理由が宗教ということでどうしてもこう思ってしまう。

信じるものの違いで、何も誰かに危害を与えたわけでもない人々を肉体的にも傷つけたり、罪なく何も知らない子供たちまで巻き込んで戦わせようとする、そんなことを本当にあなたたちの信じる神様は喜ぶと思っているのだろうか。

大切にしているものが違ったとしても、神様から見たら同じ人同士。
そこには普通の人々の、普通の暮らしがあるだけ。
友達と笑い合ったり、誰かと言葉を交わしたり、小さな恋心を持ったりそれを応援したり。

争いなく、同じように横並びで助けあうのを喜ばしいこととは思わないのがあなたたちの信じる神様なんだろうか。

そんな、了見狭い存在なの・・・?




それこそ、世の中で今起こっている情勢も彷彿とさせる内容で、今、この時期に
この映画の公開が重なったのも、ある意味神様のいたずらなのでは?と思わずにいられない。


正直、子供時代から引っ越したり、住んでいる場所が同じでも、学校を上がるごとに通う地域が変わって友達が変わり、「その変化に応じざるを得なかった」自分としては、生活の安全を脅かされてまで街や環境をに留まろうと拘る気持ちは理解はしきれないのだけれど、でもこれもまた「信じる道」の違いなんだろうな。

せめて自分の手の及ぶ小さな範囲だけでも、みんな違ってみんな良い。
そんな世界を目指したいものです。


そしてラストのジュディ・デンチ。
たった1シーンだけで全部持ってった。
流石すぎる。やっぱり好き。
えむ

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