彼を一躍有名にしたヴィスコンティ監督の『ベニスに死す』はとても好きな作品ですが、ビョルンの美しさには翳りがあり、其れが此の作品をより独特な雰囲気にさせて居るのが分かりました。ヴィスコンティは監督として素晴らしいとは思いますが、何事にも完璧を求め過ぎるあまり、人としての価値観がある意味特殊な方なのも囁かれて居ました。15歳の少年を守るべき大人の不在。まるでトロフィーの様に、外見の美だけを搾取されてきた少年。心に深い傷を負い、苦悩して来たのが此のドキュメンタリーで知る事になりました。
『ミッドサマー』であの老人は?と注目され、改めて観たビョルンの目が『ベニスに死す』と同じ翳りのあるものだったのが印象的でした。