kazu

ちょっと思い出しただけのkazuのレビュー・感想・評価

ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)
4.0
終始ずーっとほろ苦い。

どこにでもありそうな、
一組の男女の出会いと別れを
「遡って」観せることで
映画としてしっかり成立させている。

「どこにでもありそうな」
という表現は
この作品に対する最上の褒め言葉。

クリープハイプの音楽もまた
僕ら一般人のありふれた日常を
切り取っているから支持されるわけで

ありふれているからこそ
時間の経過と共に
薄れたり忘れたりする瞬間を

遡って観せることで

確かにあのとき
二人は出会って
二人は過ごして
二人は別れた

そして別れたあとも
それぞれの人生は進んで行くんだ、と

この映画は教えてくれている。



決して大きな出来事などない。

さざ波のような毎日、
だけどそんな毎日こそが
実はドラマティックで
スリリングなんだということを
実感させてくれる作品。

同じような恋愛経験をしたことがある
人なら、間違いなく共感できると思う。

タイトルも
本編を観たあとに言葉にすると

ちょっとどころではない
深みを感じずにはいられない。

素敵な作品でした。
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