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ザ・ヒューマンズのYMのレビュー・感想・評価

ザ・ヒューマンズ(2021年製作の映画)
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噛み合っているようで微妙にずれる会話、理解を諦めているが故の虚しさ、同じ空間にいるのに自分だけが他人だけが切り取られているような感覚、あれ、これ知っているなと思ったら、これ、自分が実家にいた時、親戚が集った時の感覚だ……!と気づいてしまいもうそこから頭抱えちゃったよ

壊したことを後悔しても、壊れたものから逃げたくても、日常というものはそれを許さない。割った茶碗を雑にヤマト糊で戻してみて、このまま気づかれず自分も忘れて「変わらずそのままでありますように」なんて、自分が一番無駄だと分かっているのにクソ真面目に祈ってしまう、壊されたのにウンウンそうだね、なんて頷いてしまう!愚か!!!!愚かな人間!でも分かる、っていうか嘘つき逃げ癖の塊の自分には心当たりがありすぎるほどにある愚かで情けない人間たちの姿……

己から生まれる不安後悔恐怖は、祈ろうが許しを乞おうが家中ピカピカ電気が灯ろうが消えようがずっと「いる」んだよな……形あるものはいつか消えるかもしれないが、形がないものは思い通りにはなりませんね、我々にできることは形ある肉体が1日でも早く消える日を待ちながら、色んな信仰という薬を飲んで粛々と、欠陥だらけの日常を生きていくのみ……

様々なショットがかなり好みだったが、暗闇の中で親父が祈り始めてから終幕そして浜辺のアインシュタインが流れるエンドロールがここ最近観た映画の中で一番好きだった。めっちゃカッコいい
あのボロボロ謎間取りアパートすごいな怖すぎる

いい気分にはならないけど、正月観るのに意外といいんじゃない!?と思いました 謎の爽快感というか開き直れる感がある 俺だけじゃない感というか……やはり愚かです自分は
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