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よだかの片想いのdarumaのレビュー・感想・評価

よだかの片想い(2022年製作の映画)
4.5
メ~テレのノットヒロインムービーズに惹かれて。めっちゃくちゃよかった…!3作の中で一番好きかも。出演者と監督・脚本家以外に前情報を何も得ずに観ました。同じ状態で観る事をおすすめしたいので、ネタバレには気を付けて感想を書きますが、観られていない方は読まないほうがよいかも。(私の感想ネタバレしがち…)


(以下、ストーリーに触れます)

冒頭から衝撃…こういう系か!
顔をモチーフにしているということで、同じメ~テレが噛んでいる「寝ても覚めても」を思い出した。当時、同じように顔をモチーフにした作品で「累」を観た時も思ったんですが、顔って本当になんなんだろう…と思う。顔というのはいわば単なる記号。でも、顔は自分を表す代表、名刺のようなものでもあり…

キャスティングがあまりにも人物像に合いすぎていた。
飛坂さんを演じる中島歩さん。
観ながら思わず声に出た。「ふわっとしてんなー!(笑)」
見た目も喋り方も、まんますぎる…(めちゃ褒めてる!)

青木柚くんを見て、そうだったそうだった!と思い出した。
(彼の出演も観たいと思った理由の一つだった)
巻き込まれる原田くん(笑)、彼が一番冷静に物事を観ている(敢えて「見る」ではなく「観る」と書いた、観察している)なぁと思いながら観ていましたが、まさかの大優勝じゃないですか…!?
最初は後述する藤井美菜さんとのセット出演っていう事なのかな?と思ったんですが、観終わった後、冷静に考えるとドラマ「きれいのくに」があったから、この立ち位置なのかな…?(真逆)「きれいのくに」のほうが先ですね。
今、感想を書く段になって思い出したが「累」にも出てた。
私の好きな作品に出がち。

そして!私が一番よかったと思ったのが、ミュウ先輩を演じてた藤井美菜さん。青木柚くんの事務所の先輩なんですが(この事務所のツイッターをフォローしてるので知ってた)、最高すぎませんか…!!
めちゃくちゃ似合ってたし、めちゃくちゃよかった!!!
柚くんばかり注目していたので、出ている事自体を知らなかった。途中で「あれ?そうかな…?」と思ったら、やっぱりそうだった!
今までに観たことあったのは、ドラマ「ハルとアオのお弁当箱」の井之脇海くんのお姉さんくらいだったんですが(それも結構いい役でした)、ちょっと注目したくなりました。
桜井ユキさんと少し雰囲気が似てるかもしれません…(桜井さんも以前は同じ事務所でした)。一瞬「きれいのくに」つながりで加藤ローサさんかと思いました。私は綺麗系のお姉さんがとても好きです。(同性ですが)

ストーリーは、一歩引いて観るとツッコミどころがなくはないと思うのですが(最初から化粧すればいいのでは!?と…今はどんだけでもやりようがあるでしょう、みたいな)、持って行き方、映し方、すべてに非が無いというか。私にはそう見えました。畳みかけが凄いけど、全然苦にならなかった。感動する、とか、泣ける、とかじゃないんだけど、凄くよかった。

これ確か城定秀夫監督が絡んでましたよね…?と思いながら観ていました。でも監督は女性監督だったような。当たりでした!
安川有果監督、お初です。いいですね!「21世紀の女の子」が観たいのですが、まだ観れていないです。
城定監督(は脚本です)相変わらずいいなぁ…!って感じ。本作はB級面白系ではなく、「アルプススタンドのはしの方」系の爽やかさ。

島本理生さんの原作は未読ですが、「ナラタージュ」「Red」「ファーストラヴ」の方…観たのと観ていないのがありますが、何だろう、ドキドキするわ。本作は映画化が物凄く成功していると思うので、他を観たいという感じでもないような気もする。

主人公が高学歴の女性、だけど日には当たらない所に居る、というのが、偏見かもですが物凄く現代的で、まさにノットヒロインムービーズだと思った。しかもそういう女性に限って(ここは(も)偏見かもだが)料理とか家事も完璧で上手(そういうシーンがちょいちょい入るのがまた絶妙)。そして、対象に熱量を注ぎ込んでしまいがち…
監督(飛坂さん)も全く悪気はない。ただ、愛しているものの優先順位が違うだけ。
まったく引っかかるところなく、物凄くスムーズにストーリーに入り込めた。

先生のくだりはちょっと殴られたような気持ちになった。
なんかわかる…
いじられる事自体は確かにそうなんだけど、注目される嬉しさ、みたいな?自分にも身に覚えがあったので、凄く理解できた。
正論だけが正しさじゃない、っていうのを突き付けられた気分だった。
そこまでは先生の立場で見てたのに…自分の考えの揺らぎも感じたというか。それって凄くないですか…?

あと、美容外科(かな?)のところも。
ここは驚きとかじゃなくて普通に理解できるんだけど、まさに!
アイデンティティとは。
タイトルの回収を掛けてるのもいい。
そして(ここ大事)、実はそれ(アイデンティティ)よりも、上の先生のくだりとの絡みの方が真実なのではないか…と思わせる。
実はデメリットではなく、メリットだったのではないか。
自分を構って貰える理由になるから。出版しかり、監督しかり。
もし消えてしまったら、監督の私への気持ちも消えてしまうのでは…
(と私は思いましたが、観ているほかの人にはどう映ったのだろう…どう思う人が多いのだろう、気になりすぎた)

そしてそれを超えるラストが素晴らしすぎた。

ノットヒロインムービーズって、すべてクリエイターの人が出てきていますか…?
「わたし達はおとな」は演劇、
本作は映画製作、
「そばかす」は作中で紙芝居(だったかな?)を作りますよね。
なんかそういうのも、意図的なのか偶然なのかわからないけれど、作家性の高い作品を扱っているメ~テレらしくていいなぁと思った。

あと、三宅弘城さんは「そばかす」にも出てますね!
(もしかして「わたし達はおとな」にも出てた…?それは無いか)

ようやく3作品、観る事ができました。
どれも、わかりやすく感動する話ではないんですが、パンチがあってじわじわ来る系です。
中でも本作はめちゃくちゃおすすめです!!

(感想読んで追記)
そうだった、書き忘れてた!
制作がダブ、企画協力にSPOTTED PRODUCTIONS、その代表である直井卓俊さんが絡んでいる時点で絶対好きなやつだった。(個人的に)
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