あんへる

僕が愛したすべての君へのあんへるのレビュー・感想・評価

僕が愛したすべての君へ(2022年製作の映画)
3.6
マルチエンドというか別ルートというか周回仕様というか。
選択と可能性の話をひたすら愚直に、そして拡大解釈するとまぁこうなるよね、ってのは流石に元も子もない言い方だが、実際意味のある作品の構造ではあったと思う。

選択によって人生が形作られるというなら、別の選択をして違う世界線を生きる〈彼女〉はたとえ姿形が同じでも目の前の〈彼女〉と同一人物と言えるのだろうか?
“すべて”の〈彼女〉を同様に愛せるのか?という思考実験的な問いがちらつく。
別に答えは重要ではない。思案することにこそ意義があるのが哲学、てきな。

案の定2作間で使い回しのシークエンスやダイジェストで尺を圧迫しているのが若干モヤる所なんだが、視点とアプローチが両作で完全に別物なのは感心する。
観る順番で結末が云々って触れ込みはともかく、一つの物語や世界観に対して多角的に楽しめるシステムをシンプルにこの短尺に落とし込んでいると思えばそれなりに良く出来ていたんじゃないのかな。
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