あんへる

劇場版 RE:cycle of the PENGUINDRUM [後編] 僕は君を愛してるのあんへるのレビュー・感想・評価

4.2
10年越しの生存戦略と存在証明。イクニ監督が本作を通して伝えたかったこと。
やはりと言うべきか、それは普遍的かつ不変的な「愛してる」の一言に込められていた。Destiny is mine.

前編は割合、新規カット主導でストーリーテリングを進めていた印象があったが、後編に関してはTV版の総集編濃度がより強まっていた感覚。
というより、情報量を捌き切るにはこの構造になるのが必然的だったんだろうけど。
まぁ詰まる所総集編映画って時点で言うだけ野暮なんだが、カット割りに余韻が不足していて観ていて違和感というか、若干気になる部分もあったかなぁ、正直。
とはいえテンポ感といい、見応えといい、特に物語終盤は圧巻としか言い様がない。
早い話がどう足掻いても傑作は傑作。痺れるよねぇ。

やはり世界には愛が必要だ。
文字面だけでみると、なんとも陳腐なニュアンスになってしまうが、ピンドラが体現したものってたぶんこれ以上でもこれ以下でもないと自分は思う訳で。
選ばれた存在と選ばれなかった存在、劇中で二項対立的な残酷な世界の構造を印象付けた上での“運命の果実を分け与える”という救済の形。
運命を乗り越える為に、互いに自己犠牲を循環させ、愛も罰も一緒に分かち合う、これこそが人間の生存戦略だと。円環のこt…

とまぁ、わかったような言葉を一応羅列してはみたものの、やっぱ冷静に考えると解釈が途轍もなく難しい作品なんだよな。
悔しいがこの何度でも浸りたくなる世界観、どう考えても名作中の名作である。
きっと何者にもなれずとも、いつかピングドラムを手に入れたいものですなぁ。
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